スロヴァキアのビール

■ 歴 史

スロヴァキア産ビールのほとんどはピルスナータイプのビールです。ピルスナーという呼び方はチェコのビールのメーカーPilsner(Plzen‐チェコ語)から来たものですが、スロヴァキア独自のビールがないという訳ではありません。

 畑で摘んだ(つむ)ホップと大麦で、初めて今のスロヴァキア地域でビールが釀造されたのは11世紀。1292年になるとポドリーネツ(Podolinec)という町は、ビールの生産と販売を専門的にする町として活動をスタートさせます。また15世紀には自治を求めて独立した町は自分のビール工場を持つようになります。
 歴史あるベネディクト会の修道士たちも、スロヴァキアビールの歴史の中で重要な役を務めています。彼らはビールが大好きで、1297年ごろ、自分たちのビールの工場を持っていたことがわかっています。彼らが活躍した場所は今の東スロヴァキアにあるスピシュ地方でした。
12世紀に今のスロヴァキア地域を殖民地として移住したゲルマン民族も、ビールに強い影響を与えました。15世紀には、ゲルマン民族が多く住んでいた中央スロヴァキアにあるバンスカー・ビストゥリツァ市(Banska Bystrica)とバンスカー・シチアウニツァ市(Banská Štiavnica)でビール生産が始まりました。

16世紀、スロヴァキア地域は大麦の産地として発達し、オーストリア・ハンガリー帝国の時代、ビールの生産はさらに発展します。現在でも、世界4番目に大きいビールのメーカーハイネケン(Heineken)が、スロヴァキアのフルバノヴォ(Hurbanovo)で育てられた大麦を利用しています。

そして1918年チェコスロヴァキアが一つの国になってから、スロヴァキアのビールはチェコの影響を受けて、ほとんどの生産をピルスナー型にかえました。ビールメーカーの数も競争の激化などで淘汰され、70社から現在の15社に減少しています。

 東スロヴァキアで特に人気の高いシャリシュビール(Šariš)は1997年に南アフリカの釀造所(SAB Brewing)に買収され、2000年にアメリカのミラー釀造所(Miller Brewing)と合併(がっぺい)して、Miller SABとして世界では2番目に大きいビールの市場を持っているビール・メーカーになりました。Miller SABは特にシャリシュにおいて新技術や設備に積極的に投資をしたため、効率よく生産ができるようにしました。150人の社員によって、毎年125万ヘクトリトル、つまりスロヴァキアのビール生産市場の26%という、スロヴァキア国内で2番目のシェアをもつようになっています。

では第1位はどこでしょう? オランダのハイネケン(Heineken) 、世界で4番目に入るビール・メーカーです。ハイネケン・スロヴェンスコ (Heineken Slovensko)の代表的な銘柄はズラティー・バジャント(金の雉)で、生産は西スロヴァキアにあるフルバノヴォ(Hurbanovo)とニトラ(Nitra)に集中しています。その2ヶ所は毎年200万ヘクトリトル、スロヴァキアのビール市場の42%を生産しています。
 ズラティー・バジャントの歴史は1968年にフルバノヴォ釀造所で(当時はまだ国有)始まりました。1995年にハイネケン(Heineken)社がフルバノヴォ釀造所を買収すると、ズラティー・バジャント以外の銘柄、 ケルト、ツォルゴニュ、ケルト、ゲメルやマルティネルというブランドも出すようになりました。

■ スロヴァキアビールのラベルの読み方

一見難しそうに見えるかもしれませんが、スロヴァキアでビールを飲むときにラベルの情報がわかるとおいしさも楽しさもぐんと増します。いろいろ書いてありますが、特に気をつけなければならないのは次の2つの項目です。 ぜひ覚えて、確かめてみてください。

1.明るいビール?と暗いビール?

ラベルの下の方にはスロヴァキア語でsvetle pivo(明るいビール)と書いてありますがそれは普通のビールという意味です。tmave pivo(暗いビール)−黒ビール−と対になっていて、黒ビールは特にスロヴァキアの女性に人気があります。 また、ビールは食後に消化を助けるためにのまれることも多いです。

2.10%!!!(アルコール分ではありません)

 ラベルの右の下10%や12%という数字が出てきます。日本のビールのアルコールは5%程度ですから、スロヴァキア人はなんて強いビールを飲んでいるのだろう!と思う方も多いのですが、この数字はアルコール度数ではありません。
ビールのグレード、つまり強さを表す数字で、モルトの量をパーセンテージで表しています。数字が高ければ高いほどビールのグレードがあがり、値段もアルコールの%も高くなります。目安ですが、モルト10%のビールはアルコール度数4%、また12%のものはアルコール5%ぐらいになっています。モルトのパーセンテージをラベルに出すのは珍しい気もしますが、米国と英国の家庭釀造所も同様のパーセンテージを表示しています。

 最後に、私もビールが大好きでよく友達と一緒に飲みに行きますが、スロヴァキアの友達を飲みに誘いたいなら

“Poďme na pivo”(ポジメ・ナ・ピヴォ)

と言ってみて下さい。“ビールを飲みに行きましょう”という意味で、とてもフレンドリーな言い方なので相手はきっと喜ぶと思います。
但し、余り飲みすぎるとお腹が出てしまうと言われていますので、そういう身体の変化にはお互い気を付けましょうね。

ではでは、スロヴァキアのファンの皆さん、今年もスロヴァキアの美味しいビールを楽しみましょう。
最後にもうひとつ。この言葉をお忘れなく。

では皆さん、NA ZDRAVIE!!! (ナ・ズドラヴィエ‐乾杯)  

by Marian

◇◆◇日本初輸入のスロヴァキア・ビールを味わってみませんか?!◇◆◇

■ スロヴァキアの主なビール一覧

メーカー 町/地方 ブランド 値段/SK
ハイネケン・スロヴェンスコ
(Heineken - Slovensko)
フルバノヴォ(Hurbanovo) ズラティー・バジャント(Zlatý Bažant) 14.90
フルバノヴォ(Hurbanovo) ケルト (Kelt) 18.90
マルティン市(Martin) マルティネル (Martiner) 12.50
ニトラ市(Nitra) ツォルゴニュ (Corgoň) 9.10
リマウスカー・ソボタ(Rimavská Sobota) ゲメル(Gemer) 7.50
ミレルSAB
(Miller SAB)
シャリシュ 地方(Šariš) シャリシュ (Šariš) 14.50
シャリシュ 地方(Šariš) スメドゥニー・ムニーフ (Smädný Mních) 13.90
トプヴァル
(Topvar)
トポルチャニ市(Topoľčany) トプヴァル (Topvar) 11.20
ヴィフネ
(Vyhne)
ヴィフネ市(Vyhne) シタイゲル (Steiger) 7.90
シタイン
(Stein)
ブラチスラヴァ市(Bratislava) シタイン (Stein) 10.90